白馬・栂池・塩の道を訪ねて
** 信州ドライブ旅行 (2) **
第２日：１９９６年１０月１６日（水）
昨夜はなかなか寝付かれず、二時頃まで眠れなかったので、朝目覚めたのは八時に近い時刻でした。外は曇っていて小雨も降っている様子。山はだめかなと思いながら、身支度をして二階レストランアルプスへ。バイキング方式で和洋の料理が並んでいます。ウィンナ、卵、サラダ、パン、ミルクと若干の和食のおかずを取り、食事をしながら大きなガラス窓から多数のリフトもある裏のゲレンデを眺めます。快適な展望です。山はあまりいい天気ではないようでしたが、部屋に戻りしばらくすると空も明るみを増してきたので、とにかく行ってみようということ車で出かけることにしました。
駐車場は雨で濡れていました。山伝いに栂池高原に向かい(9:25)、10分ほどでゴンドラリフトの栂池公園駅に着きました。駅前の駐車場に車を置いてゴンドラリフトに乗ります。時期も時期なので人出はあまり多くなく六人乗りのゴンドラに二人だけ。途中下界には見事に紅葉した木も見られ、遠景の展望もすばらしい。しかし、山の方は霧がかかっています。雲の中に入りますがそこを抜けたら、また青空が見え、山並みも姿を現しました。なにか山の木々が白っぽく見えます。20分ほどのゴンドラリフトから70人乗りのロープウェイに乗り換えます。20分おきに発車し(10:20 発)、６分で栂池自然園につきました。車内からも見えましたが、雪が積もっていました。駅員に聞くと、今朝降った雪だとのこと。駅ではストーブをたいていました。積雪量は 5 cm くらいか？ 樹木の枝にも白く降り積もっています。駅の雨樋が雪の重みで垂れ下がっていました。道路にはさすがに雪は残っていませんが、雪解け水が道路を流れていました。道ばたの傾斜面には、まだとけていないきれいな雪が残っており、登ってきた人々も思いがけない雪に遭遇して皆大喜びでした。
自然園入口まで５分ほど歩き、展示館で栂池高原の展示説明をみました。この裏に水芭蕉の湿原が広がっています。正面の山は白馬乗鞍岳、その奥に白馬大池がある筈です。湿原には踏み板が敷いてあり、ここを歩くようになっています。板の上は積雪が溶けかかっていて滑りやすい。天気も良くなり、白い雪には陽が当たってまぶしく、水芭蕉の湿原は葉が枯れていますが、澄んだ水が流れていて冷たそう。山もくっきりと白い稜線を見せて美しい眺めです。木の枝に積もった雪はどんどん溶けてゆきます。湿原の渡り板の道の途中で老夫婦が三脚にカメラを据えて山に向かって構えていましたが、そのそばに小さな雪だるまができていました。若い人たちが作っていったと老夫婦から聞きました。Ｖサインをした雪だるまと一緒に洋子の写真を撮りました。自然園の奥の方へ行く道には踏み板がなく、雪解けでぬかるんでいたので、奥に行くことをあきらめて、入口に戻りました。展示館の脇の売店で甘酒を飲んで冷えた体を温めていたら、聾唖学校の生徒らが手話で会話をしながら、引率してきた先生と一緒に売店の休憩所で弁当を広げ始めたので、場所を空けるべく帰途につきました。ロープウェイ(12:00 発)からゴンドラリフトに乗り換える途中、遊歩道にも立ち寄ってみました。ここにも水芭蕉の群落があり、道は枯れ草の絨毯が敷き詰められているようでした。遊歩道の途中には雪崩で押し倒されたのではないかと思われるような倒木が数本あり、白樺も倒れていましたのでその皮を少しむいて持ち帰りました。再び紅葉を楽しみながら、ゴンドラリフトで麓にくだりましたが、天気は快晴となり、朝のような霧は完全に消え、周辺の山々もよく見えるようになっていました(13:00)。
麓でハンバーガーを買って遅い昼食を取り、塩の道の百体観音を訪ねました。駐車場のおばさんに道を聞いて車でその方角に向かいましたが、それらしい道も見つからずどんどん道が下ってゆき、148号線が見えるところまで下りてしまいました。 おかしいと気づき、また探しながら元に戻ります。駐車場からほど近いところに目立たない塩の道の標識が見つかりました。こんなに近いのなら駅の駐車場に車をおいて歩いてきてもよかったのにとぼやきながら、無人の事務所の構内らしいところに車を止めさせてもらって百体観音を訪れました。この百体の観音にお参りすることで、西国、板東、秩父のすべての霊場を回ったことになるのだそうです。学生らしい女の子が一人、写真を撮りながらノートにいろいろメモしており、もう一組夫婦者らしい二人連れがここを訪ねた後、塩の道を先の方へ歩いていきました。塩の道はかつて日本海から信州に塩を輸送する重要ルートであり、いろいろな史跡が残っているようです。
我々は車に戻り (14:30)、舗装道路を迂回して塩の道の先に回り、牛方宿を訪ねました。しかし、ここは無人で近所の家も閉まっていて見学できません。あきらめて、先にゆくと道路工事中で通行止めになっており、また引き返しました。このとき先に百体観音で出会った二人連れが塩の道から出てきました。歩いてきたようです。また同じ道を引き返し、最初に下りた道から148号線に出て、ふたたびホテルへの道から千国の庄史料館を訪れました。ここには塩の道に設けられていた千国の関所が復元公開されています。中にはこの道の重要性の説明や当時の民具などの資料も展示されています。外に出るとまた百体観音で会った学生らしい女の子に出会いました。卒論に塩の道でも研究しているのかな。
ここを出てホテルに戻ったのは 16:00頃。一休みして売店など下見をして時間を過ごします。昨日今日は団体客がなく空いているのだとの売店の係の話。18:00過ぎ、レストラン・アルプスで夕食、コーンスープに、貝柱の料理に小さい焼きリンゴを添えたもの、牛ヒレステーキにリンゴ入りソースをかけたもの、野菜サラダにリンゴと洋なしのコンポート、パン、コーヒー付きで美味しくいただきました。食前にビールを飲み、いい気持ちで部屋に戻り、一休みして酔いをさましてから風呂にはいりました。この日は本も読まずにすぐ寝ました。
